近年、スマートフォンの性能競争はSoC(システム・オン・チップ)性能がますます重要になっています。特に、MediaTekの10シリーズは、性能・効率面でSnapdragonと肩を並べる存在となりつつあります。その中でもDimensity 9300+は、フラッグシップ級の極上スコアと実用的な電力効率を兼ね備え、高性能スマホを求めるユーザーだけでなく、ゲーマーやクリエイターにも注目されるSoCです。
本記事では、
- Dimensity 9300+のベンチマーク性能
- 他の主要SoCとの比較
- 9300+搭載スマホの紹介
を中心にわかりやすく解説していきます。
Dimensity 9300+の性能は?
AnTuTuベンチマーク(v10)
Nanoreviewによる最新のAnTuTu v10スコアでは、Dimensity 9300+は約2,111,636点を記録しており、前世代のDimensity 9300からもスコアアップしています (総合スコア:約2,071,810点) 。
- CPU:約505,590点
- GPU:約864,600点
- Memory:約385,208点
- UX:約356,238点
特にGPUは前世代に比べて微減、しかしCPU・メモリ・UX性能が強化され、総合では約40,000点近い伸びを示しています。
SoCランク比較
Antutu公式ランキング(2025年5月)では、Dimensity 9300+は合計スコア約1,331,338点(別スキーム)で、Snapdragon 8 Gen 3など上位チップに匹敵する位置づけ。
これが以下のような順位に反映されます:
順位 | SoC | 合計スコア |
---|---|---|
1 | Snapdragon 8 Elite | 1,709,461 |
2 | Dimensity 9400 | 1,701,249 |
3 | Dimensity 9300+ | 1,331,338 |
※表の数値はNanoreviewベースで、前者はv10スコア、9300+は別方式の合算スコアです 。
他SoCとの性能差
比較として、Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2とのパフォーマンス差を確認すると、Nanoreviewでは以下のように報告されています:
- 9300+はAnTuTu v10スコアで2111Kを記録、一方でGen 2は1561K(約35%差)
- GPUの周波数が約91%高く、浮動小数点演算も約91%優秀。
- CPUクロックも6%高く、メモリ帯域も14%広い。
さらにNotebookcheckの情報によれば、極限状態ではAnTuTuが最大2,305,607点に到達するケースも存在し、Snapdragon 8 Gen 3の2,138,119点を凌駕しています。
エネルギー効率・AI性能
9300+は「オール・ビッグコア」構成(4×Cortex-X4+4×Cortex-A720)でピーク性能を追求しつつ、MediaTekの独自4nmプロセスで電力効率も強化。公開情報によれば、前世代と比べて合計で40%の電力効率向上とされます(ただし別SoCよりの比較)
また、AIプロセッサ(APU)ではStable Diffusionのワンショット生成(約1秒)など高速画像生成や数百億パラメータのLLMをネイティブで処理できる点が注目されており、オンデバイスAIの本格普及へ一歩前進した設計です。
Dimensity 9300+搭載スマホ
Vivo X100 / X100 Pro
- 実際のAnTuTuスコア投稿例では、Vivo X100が2,034,156点(6月2日)や2,082,088点(2月26日)など、9300搭載機として2百万点超えを継続記録 。
- Cortex構成は、4x X4(1×3.4GHz+3×2.85GHz)+4x A720(2.0GHz)、Immortalis-G720 GPUとNPUも強化。
またカールツァイスレンズのカメラも大きな魅力となっています。詳細はこちら。

Xiaomi 14T Pro

- Dimensity 9300+を搭載するフラッグシップ機。AnTuTuでは2,047,671点(5月23日)など、安定した高スコアを記録 。
- 6.67インチ 120Hz AMOLED、最大1TBストレージなど高級仕様を備え、AI・ゲーム・クリエイティブ用途にも対応。
Xiaomi 14T Proについては別記事にて詳しく解説していますので、こちらも御覧ください。


まとめ

✔️メリット
- 高いAnTuTuスコア(210~230万点)により、トップクラスの処理能力を誇る。
- Snapdragon 8 Gen 2や3と肩を並べる性能でコストパフォーマンスに優れる。
- 電力効率も改善し、バッテリー持ちや発熱制御にも配慮された設計構成。
- AI用途にも強く、画像生成やLLM推論に適用できる性能を持つ。
⚠️デメリット・注意点
- オール・ビッグコア構成のため、スリープ時や軽負荷時の省電力性は構成次第。
- Snapdragon系に比べて長期ソフトウェア対応が不透明な場合もあり、メーカー依存が他社より強い。
総合評価
Dimensity 9300+は、フラッグシップに迫る高性能と実用性を兼ね備えたSoCとなります。
AnTuTuベンチマークでは上位チップに匹敵するスコアを達成し、ゲーミング・マルチタスク・AI処理どれをとっても遜色ありません。ある機種では230万点を超える記録もあり、現状ではほぼ最高クラスのAndroid向けチップと言えます。
これからスマホを購入検討する場合、Snapdragonの重厚さは必要ないが性能さは妥協したくない層にとって、Dimensity 9300+搭載機は非常に魅力的な選択肢となるといえます。
次世代AI活用(画像生成・音声認識・リアルタイム翻訳など)への対応も視野に入れるなら、性能・効率・値ごろ感のバランスが非常に優れている印象です。
まとめ
Dimensity 9300+の特徴をまとめると以下のとおりです。
- 最大スコア:約230万点に到達し、Snapdragon 8 Gen 3と比肩できる性能。
- 電力効率改善とAI性能搭載による将来性も高い。
- Xiaomi 14T ProやVivo X100シリーズ、など搭載スマホが登場中。
- 性能重視かつコスパを求めるユーザーは、9300+搭載機種を積極検討すべき。
今後はさらなるソフトウェア最適化やISP強化の進展にも期待したいところです。それでは~