スマートフォンやパソコンの性能を測定する定番ベンチマークソフトGeekbenchの最新版となるGeekbench 7が公開されました。
Geekbench 7ではCPU・GPUのベンチマーク内容が大きく見直され、ビデオ会議や動画視聴、画像編集、AIを利用した処理など、現在のデバイスで使われることの多い処理をより強く意識した内容となっています。
この記事では、Geekbench 7の特徴やGeekbench 6との違い、表示されるスコアの見方について解説します。
Geekbench 7とは?

Geekbench 7は、Primate Labsが開発しているクロスプラットフォーム対応のベンチマークソフトです。
AndroidやiOSだけでなく、Windows、macOS、Linuxにも対応しており、スマートフォンからパソコンまで幅広いデバイスの性能を測定できます。個人用途であれば無料で利用可能です。citeturn561159view0
Geekbenchでは主に、
- CPUのシングルコア性能
- CPUのマルチコア性能
- GPU性能
などを測定できます。
同じGeekbench 7を利用することで、異なるメーカーやOSを採用するデバイス同士でも性能を比較しやすい点が特徴です。
Geekbench 7とGeekbench 6の違い
Geekbench 7ではテスト内容が大幅に更新されています。
違いについては以下の表にまとめました。
| 項目 | Geekbench 6 | Geekbench 7 |
|---|---|---|
| CPUテスト | 従来のアプリ処理を想定 | 最新の利用環境を意識して更新 |
| マルチコア | 多くの処理をマルチスレッド化 | 実際に並列処理される処理のみマルチスレッド化 |
| メディア処理 | 従来の動画・画像処理 | AV1、Opus、Whisperなどを追加 |
| ゲーム関連 | 一部処理を測定 | Jolt Physicsを使ったGame Physicsを追加 |
| GPU | GPU演算性能を測定 | AI・画像編集・コンテンツ制作を重視 |
| GPU API | OpenCL/Vulkan/Metalなど | CUDAにも対応 |
| データセット | Geekbench 6世代 | より大容量・複雑なデータへ変更 |
より現実的なマルチコアテストに変更
特に大きいのが、マルチコアスコアの測定方法の変更です。
Geekbench 7では、実際のアプリケーションでマルチスレッド処理されるタスクだけをマルチコアテストとして実行します。
例えばHTML5 Browserテストについては、実際のブラウザ処理がシングルスレッドまたは軽度のマルチスレッド処理であることから、マルチスレッドテストには含まれません。
単純にCPUの全コアをフル活用した性能を見るというより、実際にアプリを使ったときの性能を再現する方向へ変更されたと考えると分かりやすいでしょう。
AV1やAIを利用した処理も追加
Geekbench 7では、現在のスマートフォンやパソコンに合わせてテスト内容も更新されています。
例えば画面共有を想定したAV1動画のエンコード、Opusによる音声圧縮、動画を再生しながらWhisperで字幕を生成する処理などが追加されました。
さらにゲームで使用されるJolt Physicsエンジンを使用した物理演算テストも新しく追加されています。
GPUベンチマークも大幅刷新
GPUテストについても、単純な演算性能だけではなく、AIやクリエイティブ用途をより重視した内容になりました。
顔を追跡してリアルタイムにエフェクトを適用する処理、AIによる画像アップスケーリング、ビデオ会議の背景ぼかしなどが追加されています。
RAW画像処理や動画のカラーグレーディング、パストレーシング、流体シミュレーションにも対応しました。
また、Geekbench 7からは新たにCUDAにも対応しています。NVIDIA製GPUを搭載したパソコンでは、より実際の利用環境に近いAPIで性能を測定できるようになっています。
Geekbench 7のスコアの見方
Geekbench 7のCPUテストを実行すると、主に「Single-Core Score」と「Multi-Core Score」の2種類が表示されます。
Single-Core Score
Single-Core Scoreは、CPUコア1基あたりの処理性能を表します。
アプリの起動やWebブラウジングなど、すべてのCPUコアを使い切らない処理ではシングルコア性能が重要になります。
基本的には数値が高いほど高性能です。
Multi-Core Score
Multi-Core Scoreは、複数のCPUコアを使用した際の総合的な処理性能を表します。
動画編集やエンコードなど、複数のコアを利用できる処理ではマルチコア性能の高さが有利になります。
ただし前述したようにGeekbench 7では測定方法が変更されているため、単純にCPUコア数が多いほどスコアが高いというテストではなくなっています。
Geekbench 7のCPUスコアは、AMD Ryzen 7 7700のスコアを2,500とする基準で調整されています。スコア5,000であれば、基準となる2,500に対して約2倍の性能を示すという考え方です。
GPU Score
GPUスコアについても基本的には数値が高いほど高性能です。
Geekbench 7ではGeForce RTX 4060の「100,000」が基準となっており、200,000であれば基準に対して約2倍の性能を示します。

試しに筆者が手持ちの4070Tiで計測してみると158000点ほどとなりました。
ただしOpenCL、Vulkan、Metal、CUDAなど使用するAPIが異なる場合があるため、GPUを比較する際には同じAPIで測定したスコア同士を比較するのがおすすめです。
Geekbench 6とGeekbench 7のスコアは単純比較できない
Geekbench 7ではテスト内容やデータセット、マルチコアの測定方法などが変更されています。
そのため、Geekbench 6で測定したスコアとGeekbench 7のスコアをそのまま比較することはできません。
例えば「Geekbench 6よりGeekbench 7のスコアが低くなったから性能が落ちた」という見方は適切ではありません。
スマートフォンやCPUを比較する場合は、Geekbench 7同士、あるいはGeekbench 6同士のように、必ず同じバージョンで測定された結果を比較してみると良いでしょう。
まだ出たばかりのベンチマークですが、まずは手持ちのスマートフォンやパソコンなどで計測してみて、他のモデルと比較してみるのも楽しみの一つかもしれませんね。

